【2022年 IT導入補助金】中小企業の財務会計システム導入費を最大75%補助 とは何か

【2022年 IT導入補助金】中小企業の財務会計システム導入費を 最大75%補助 財務会計システム
【2022年 IT導入補助金】中小企業の財務会計システム導入費を 最大75%補助

2022年1月、「令和3年度補正予算IT導入補助金」の概要資料が、経済産業省より公表されました。注目すべきポイントは、財務会計システム導入費用に対する補助率の引き上げと、クラウド利用料に対する補助額の拡充です。

IT導入補助金とは、どのような制度なのでしょうか? この記事では、制度の内容や、補助対象となる中小企業、補助率、上限・下限額、申請方法などについてまとめています。

IT補助金とは何か 財務会計システムは補助対象になるの?

そもそも補助金とは、国や自治体の政策に合わせて、さまざまな分野で募集されている、返済不要の公的な資金を指します。 一般に補助金は、交付を受ける難易度が高いことで知られています。予算が限られているので、申請の件数が増えれば、その分倍率が上がるためです。よって、要件を満たしていても、事業計画が優れていないと審査が通らないということも考えられます。 IT補助金は、2017年に創設されました。
中小企業・小規模事業者のデジタル化を支援することを目的とし、新規でITツールを導入する企業に対して、経済産業省がコストの一部を補助してくれます。 2022年度はR3年度補正予算の可決により、補助対象の大幅な拡充が決まりました。具体的には、財務会計システムに対する補助率を最大75%に引き上げ、クラウド利用料の2年分をまとめて補助、PC・タブレット、レジ等の購入を補助対象に追加、の3点です。 拡充の背景には、2023年から導入されるインボイス制度の存在があります。インボイス制度とは、消費税に関連する制度で、事業者が仕入先に対して、正確な適用税率、消費税額等を記載した請求書(インボイス)を発行することを義務づけるものです。従来に比べて事務が煩雑化するため、中小企業・小規模事業者のITによる業務効率化を推進する狙いがあります。

対象となる中小企業は? 助成率と上限・下限額も紹介

IT補助金は、日本で事業を行うさまざまな業種の中小企業・小規模事業者を対象にしています。資本金、従業員数の上限は業種により異なります

補助枠は大まかに、デジタル化基盤導入類型と複数社連携IT導入類型に分かれます。

デジタル化基盤導入類型は、インボイス制度を見据えたデジタル化の推進を目的に、財務会計システムの導入を計画する中小企業が対象です。

複数社連携IT導入類型は、地域DX(デジタル化の推進により、地域変革を目指すあらゆる取り組み)の実現を目的に、複数社のITツールを導入することを計画する、複数の中小企業が対象です。

補助対象となる経費は、財務会計システムの導入費、月額・年額利用料のほか、ハードウェアの購入・設置費用も含まれます。

補助率や上限額は、枠ごとに異なります。

デジタル化基盤導入類型の場合は、申請額50万円以下で75%、申請額50万円超~350万円で66%です。ただし、PC・タブレットの場合はこの限りではありません。

複数社連携IT導入類型の場合は、導入経費の75~66%に、消費動向等分析経費の66%を加算した額を、上限3千万円にて補助。加えて、参画する中小企業をとりまとめる、専門家のコンサル料10%も補助対象になります。

中小企業が行う手続きやスケジュール、注意事項について

2022年度の申請スケジュールは、まだ公表されていません。昨年度では、5月、7月、9月、11月、12月の5回に分けて募集がありました。早めの準備が肝心です。

ご参考までに、昨年の申請の流れをご紹介します。

業者の選定、電子申請システムのアカウント取得

どの財務会計システムを導入するか、選定を行います。ITツールは、経済産業省の審査に合格した「IT導入支援事業者」の提供するツールから選ぶ必要があります。

併行して「gBizIDプライムアカウント」という、補助金の電子申請などが行えるアカウントの取得や、「SECURITY ACTION」という、中小企業自らが情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度への登録を行います。

事業計画の作成・提出

導入する財務会計システムが決定したら、いよいよ交付申請です。

交付にあたっては、事業計画の提出が必須となります。事業計画は、学者を含む専門家の審査にかけられ、事業面と政策面の両方から審査されます。事業面では、自社の経営課題や改善プロセス、財務会計システムの導入による数値目標などの具体性が問われます。政策面では国が推進するインボイス制度に対する取り組みの姿勢が問われます。

交付通知の受領、その他の注意事項

交付の決定通知は、応募からおよそ1ヶ月ほどです。ただし、交付決定前に財務会計システムの契約、納品を行った場合は補助を受けることができないので要注意です。

その他の注意事項としては、財務会計システムの導入完了後に提出する、売上、給与総額などの数値目標に関する情報を記載した「事業実施効果報告」の作成があります。数値目標に到達していない場合、補助金の一部返還を求められることもあるため、こちらも注意が必要です。