PPA(取得原価の配分)って何?

PPA(取得原価の配分)って何? 財務会計システム
PPA(取得原価の配分)って何?

今回は会計業務に携わる際によく出てくるPPAについて説明をしていきたいと思います。PPAは日本語では「取得原価の配分」という意味になってきます。もう少し細かく言うと、企業でM&Aが行われた場合、売収される側の企業の資産や負債の企業結合日時点の公正価値(時価)を基礎として、当該資産及び負債に配分するプロセスのことを指し、これらを会計上処理する必要があります。 それはもう少し詳しく解説していきます。

日本では2010年より

PPAについては、アメリカでは以前より使われていたのですが、日本が本格的に導入されたのは2010年(企業結合会計基準の改正)からになりますので、比較的歴史の浅いものになります。しかしM&Aをするにあたり必要なものとなってきたこともあり、まだそこまで馴染みのある言葉ではないかもしれませんが、企業の不正会計などの監査などが厳しくなってきている現在の状況なのでPPAも大事な監査項目として認識されることが増えてきました。またIRに対する意識も高くなってきたこともありPPAが浸透してきた理由でもあります。

PPAは誰が行うのか?

PPAはだれが行うのか?適切に行える人はいるのか?ということなのですが、基本は社内の経理担当者が行うことが一番スムーズかと思います。しかしながら一般会計の処理などとは異なる部分も多くあるので一般的な経理業務をしか経験のない経理担当者では難しい内容となってしまいます。その為、基本はPPAの専門家を招集する、依頼するという方法が一般的です。
M&A買収企業からの情報収集をした監査法人がPPAの専門家を使い、外部評価者などとディスカッションを行い、フィードバックをもらう。といった流れになっていますので、PPAの専門家は数字だけの処理だけではなく、レベルの高いコミュニケーション力も要求される業務になります。

専門家は国内では100名ほど?

やはり専門性が高いこともあり、PPAを専門で行っているプロは50~100名ほどではないか?と推測されているようです。 無形資産やのれんといった部分を得意としている専門家がそもそも少ないようです。これは2010年まではほとんど注目されていなかった為仕方ないことかもしれません。専門の監査法人ファーム内に属している人もいれば、フリーで受けている人もいますが、それを含めても限られた人数しかいないのが現状のようです。

PPAには事業計画が必要

PPAの無形資産評価については将来のキャッシュフロー、経済的価値がわかる事業計画書が必要になります。

どういった事業計画が必要か

M&Aを行う過程で、基本の考えとして売り手は少しでも高く売りたい、買い手は少しでも安く買いたい、です。買収金額は、両者の見せ方や交渉力などで拮抗したやり取りの中、ゴールを目指していくことになります。その為買い手は固有の要素を除いた事業計画を使用します。この場合の固有は、買い手側がコントロールできるものを指します。その為、無形資産ではなく、のれんを構成したものでと考えます。

関連用語

PPAを調べる中で良く出てくる用語があります。それが「のれん」です。こののれんに関しても説明をしておきます。

のれんとは

のれんとは、譲渡企業の純資産と実際の買収価格の差額のことで、わかりやすく言いますと、その企業が持っている技術・ノウハウ、ブランドの価値など目・数字で表されていない部分のことを指します。

のれん代とは

のれん代とは、貸借対照表における勘定科目のひとつで、実際の買収価格-譲渡企業の純資産がのれん代となります。売却金額が純資産額だけでなく、上記でのべたように企業が持っている技術・ノウハウ、ブランドの価値などの無形資産分がのってきます。それら複雑なものを組み入れた状態で譲渡価格を決める場合、譲渡価格と時価評価に置き換えた後の純資産額に差異のことをのれん代と言われています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はPPAについて記事にしてみました。PPAは専門性の高いジャンルになりますので一般的な財務会計システムなどで対応するものではなく、高い知識と経験、それらを依頼人とうまく進めていくコミュニケーション力などが必要になりますので簡単なものではありません。しかしながら今後もPPAが出来る人材を探す企業は増えていくので、会計でステップアップしたいと考えている人はトライされることをおすすめします。