圧縮記帳とは? 会計システムを活用できるのか?

圧縮記帳とは? 財務会計システム
圧縮記帳とは?

中小企業では特に税負担についてお悩みを抱えている企業様が多いと思います。
予定外の保険金や助成金が発生すると企業にとっては負担となっていきます。そういった企業様のために必要と言われているのが圧縮記帳です。

今回は会計ルールで利用される圧縮記帳について説明していきます。

圧縮記帳とは

ではまず、圧縮記帳について説明します。簡単に説明すると一定条件の元で固定資産を取得した場合の課税の繰り延べのことを指します。圧縮損を計上することで課税所得を相殺する手続きとお考えください。

圧縮記帳を適用すると、減価償却費を減少させたり、減価償却が終わるまで課税所得は変化しません。
課税の繰延べをする会計処理をすることで、税金を平準化するために行う処理を指します。

例として、国、自治体などから補助金が出る設備投資をするとします。そして補助金を予定どおり利用、減価償却します。
この場合初年度の課税所得はどうなるのかを考えます。
補助金収入は法人税上益金となり課税所得が増えることになります。損金としては減価償却費となってしまうと、初年度の課税所得は高くなることになります。補助金をつかったものの税金を多く支払うということになってしまうと、補助金の効果が薄れてしまうことになります。このような場合に圧縮記帳を活用することになります。

適用条件や方式など

この圧縮記帳には適用要件、限度額、直接減額方式や積立金方式などの処理方法があります。

適用条件


(1)圧縮記帳を行う場合には、圧縮限度額内で確定決算において1.~3.のなかから選択して経理処理すること。
1.損金経理により「圧縮損」を使い帳簿価額を直接減額する方法
2.損金経理により「積立損」使い「積立金」として積み立てる方法
3.剰余金の処分により「積立金」として積み立てる方法
(2)確定申告書に圧縮額等の損金算入に関する明細書(申告書別表13)を添付すること。

になります。

対象になるもの

国庫補助金

代表的なものとして・IT導入補助金
・既存建築物省エネ化推進事業
・小規模事業者持続化補助金
・ものづくり補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)

などがあります。助成金や給付金とは異なり、全てが対象となるということでもありませんので圧縮記帳に対象かどうかは都度調べていく必要があります。

工事負担金

電力会社やガス会社といった公益事業会社が設備や施設の資金として受け取った資金を指します。

保険差益

災害などによる保険金収入があり、滅失資産に変わり代替資産を取得した場合などに適用されるものになります。

交換差益

固定資産を交換によって取得した場合は、その交換差益が対象となります。

非出資組合の賦課金

非出資組合は、出資を有しない協同組合などを指します。

非出資組合の賦課金は、組合員・会員に対して、固定資産の取得または改良に充てるための費用を賦課して納付された金銭のことで、その固定資産を取得した場合のことになります。
非出資組合の賦課金は、工事負担金の圧縮限度額に準じます。

特定資産の買換

特定資産の買換とは、一定の譲渡資産を譲渡したその年度に一定の買換資産を取得した場合などに適用することを指します。
圧縮記帳限度額は、圧縮基礎取得価額×差益割合×80%で計算され、買換資産の取得価額と譲渡資産における譲渡対価の額のいずれか少ない額になります。。

圧縮記帳の方式

圧縮記帳の方式は2種類になっています。

直接減額方式

直接減額方式とは固定資産の取得原価を直接減額のことです。特別損失の「固定資産圧縮損」を利用し、固定資産の簿価を受けた補助金分だけが減額されます。補助金と固定資産圧縮損が相殺されるため 損益は発生しません。

積立金方式

積立金方式は固定資産の取得原価を減額はしないで、圧縮限度額の範囲内で圧縮積立金として積み立てる方法です。圧縮積立金は固定資産の取得時ではなく、決算時に積み立てます。
圧縮損を計上しないので会計上の利益は増加され、税務上は圧縮積立金が損金算入されるため課税されません。

圧縮記帳のメリット

圧縮記帳のメリットとしてはは、資産を取得した年の税負担を軽減を可能にすることです。
補助金などが重なり税負担が大きくなることで、想定外の税金に頭を抱えてしまうことを防ぎます。

まとめ

このような圧縮記帳の会計ソフトやクラウドERPの財務会計機能などを活用することで正確に行うことが可能です。
コロナの補助金や、思いがけない大きな収入が発生してしまった場合は活用しないといけません。