預り金勘定・預け金とは? 意味を知って役割を理解する

預り金勘定・預け金とは? 財務会計システム
預り金勘定・預け金とは?

預け金とは、返還されることを前提に、一時的に他者に預ける金額のことです。デポジットとは何かわからないという方は、交通系ICカードの支払いや、賃貸物件の保証金などをイメージしてください。
会社によっては、「預金」という勘定科目を使わず、「保証金」「前払い保証金」「担保保証金」などの勘定科目を設けているところもあるようです。預り金の中には、不動産取引における敷金や保証金の償却など、全額が返金されないものもあります。預け入れ時に返還されない部分の金額がわかっている場合は、預け入れ時に預金と長期前払費用に振り分ける必要があります。
今回は、財務会計の中で預金と仕訳の基本的な考え方について、具体的な例を挙げながら解説します。

預け金とは

預託金とは、後日返還されることを期待して、一時的に第三者に預ける金銭のことです。預けたお金が戻ってくるかどうかは、元の預け先が契約上の権利を持っているかどうかがポイントになります。預金は一時的なものであると考えられるため、消費税の課税対象とはなりません。預金は通常、企業の貸借対照表上では流動資産として計上される。”預金 “と混同されがちな勘定科目に、”預り金 “があります。用語は似ていますが、真逆の意味を持つ勘定科目です。

預け金と呼ばれるもの

預け金とは、企業が一時的に金銭などを預けるための勘定科目である。この場合の相手とは、取引先、役員、従業員などである。一時的に預けるものなので、返却されないものは含まれません。なお、取引先への保証金などは敷金として扱われることがあります。

預り金と呼ばれるもの

預金は、債権の対極にあるものです。取引先や役員、従業員など、他者から一時的にお金を預かるときに使うのが「債権」です。預金と同様に、債権も一時的なものであり、後日返還しなければなりません。
例えば、従業員に支払う賃金に対する源泉徴収税は、後で従業員に代わって税務署に納める金額、つまり預り金として処理されます。社会保険料の源泉徴収も同様で、この場合も預り金として処理され、従業員に代わって社会保険事務所に後日納付することになります。その他、預貯金、取引先から預かった営業保証金、役員や従業員の社内預金、個人保証金なども預り金として扱われることがあります。

預り金の取り決め

預金は「一時的に預かり、後日返還しなければならない」ものであるため、負債とみなすことができます。したがって、預金は「預り金」として扱うのではなく、「流動負債」または「固定負債」として扱う必要があります。そのため流動負債として扱える預金は、1年以内に返還されるものだけです。

たとえば、従業員の社内預金、取引先から預かった営業保証金など、1年以内に返還する必要のない預金は、流動負債として扱うことができません。このような場合には、「長期預り金」「預り保証金」などの勘定科目を用いて、固定負債として処理します。
ただし、預り金の額が会計上比較的重要である場合には、区分経理を行う必要があります。また、役員または従業員からの預り金の額が負債および純資産の合計額の1%を超える場合には、”財務諸表等の用語、様式および作成方法に関する規則 “第50条の規定に基づき、区分記載が必要となります。

預け金・預り金の例

預け金の場合

A社がB社に資金運用を委託し、A社の当座預金口座からB社の指定する口座に1000万円を振り込んだ場合、関連する仕訳の場合、当座預金から1,000万円減少しているので、貸方に「当座預金」と記入し、金額は1,000万円とします。当座預金からお金が減った理由は、A社からB社への預け金なので、借方に「預け金」と記入し、金額は1、000円となります。

預り金の場合

15日の給与支給日に、C社は従業員の給与総額600万円を当座預金から振り込み、うち60万円を源泉徴収税、25万円を住民税、50万円を社会保険料とし、合計465万円から源泉徴収税額を差し引いた金額を振り込みました。この場合は源泉所得税、住民税、社会保険料などはすべて預り金として計上されます。また、当座預金から減っているので、貸方に「当座預金」と記入し、給与手当の総額から各源泉徴収税額の合計135万円を差し引いた465万円を記入することになります。同様に、貸方に「預り金」が入力され、金額は1,350,000円となります。これらの金銭が減少した理由は、給与手当である。したがって、借方には「給与手当」が記入され、金額は600万円となる。

まとめ

経理担当者の中には、仕訳に預金勘定を使ったことがない人もいるかもしれない。預金などは暦年で預けっぱなしで、試算表や貸借対照表も毎年同じ数字になっている会社もあるかもしれません。しかし、決算時には、預金の内訳を把握する必要があります。また、返還義務のある預金は正しく預け入れ、会計処理するようにします。まれに、部署の事務担当者が預金の返却を意識せず、雑収入などに計上している場合がありますが、これは決算整理仕訳で修正することが出来ることもあります。